「アルバイト先を探して」

あれは、2年とちょっと前のこと。

大学に通うため上京した私は、アルバイト先を探しながら神保町をぷらぷらと歩いていた。

本があるから、本ばかり見てしまう。
気がつくとアルバイト先をろくに探していないのにもう日が傾いていた。
そういえば東京に来る前に祖母が、神保町の本屋さんは本が日に焼けない向きに建っているのだ、と話してたっけ、なんて考えながら歩いていると、レンガ造りの建物に張り紙が貼ってあるのが目に入った。

「アルバイト募集 おいしいまかない付き」

あっ、ここでバイトしてみよう、と思って、あれよあれよと言う間にバイト先が決まった。


何のお店かと言うと、ビアホールです。
100年以上の歴史があるお店で、いろんな本に登場します。
私が持っている本から紹介すると、東海林さだおの「一人生ビール」というエッセイがあります。
東海林さだおのエッセイは以前から好きだったのですが、アルバイトを始めてからこの文章は少し特別なものになりました。
夕方の少し空いた時間帯のお店の様子、ビールや料理のこと、どれも目に浮かびます。
今は、牡蠣が美味しいんですよ。

 

東海林さだお『どぜうの丸かじり』

http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167177652